もともとこの仕事を始めたきっかけは
やはりレザジャケやジーンズが好きだった訳だが、
自分で作れるとなればやはり理想のレザジャケが作りたい!
となるのが自然だろう。
よし!宣伝にもなるし、いっちょう作ったる。
と思い立ち早速作業に着手した。
ダブルでホースハイドで、しかも黒×茶のツートン。
襟にはデタッチャブルのベージュ色のムートンをつけて
冬ライディングの防寒対策も完璧。
パターンを作り、裁断してるうちに急増してきた注文に追われるようになり、
自分のは後回し、でもそのうち完成させよう。
、、、、と思ってはや5年。
未完のレザジャケは5年間裁断台の下の箱の中に眠っている。
上の写真も店舗が東中野にあった時撮ったものだ。
注文やその他の仕事に追われて全然作業が進まないのだ。
フルオーダーは同じデザインのものはおろか、
サイズも皮革もすべて違うのでほぼすべてが初めて作るものになる。
その上ひと針誤ればその革には針穴が空き、
皮革買い直し、すべてやり直しの根気と集中力総動員の世界だ。
私の職人のキャパというか性能が低いというか、
一着作ると心身ともにぐっっったりしてしまって、
とても注文以外のものを作る気力が残ってないのも原因だと思う。
歳のせいもあるかもしれない。
いやいやエンジンで言うとレーシングエンジンのようなもので
毎レース終わったら腰上を開けてOHしなければならない。
ピストンは3時間で交換、うちナラシに30分かかるので、
全開走行は僅か2時間半!
無駄に廻せないのだ。
高性能の証だろう。、、、と言っておこう。
少しかっこいいから。
あともうひとつの未完の原因は、色々なレザジャケを作っているうちに
自分の中で理想のレザジャケが変わってきてしまったのも大きいだろう。
今ならシングルで色は単色でホースハイド以外が理想になってしまった。
全然違うじゃん。
理想のシングルの絵型は描いてあるが、
また理想のレザジャケが変わっちゃったりして。
それでまたまた元のダブルのホースに戻ったりして。
、、、もう少し放置しとこうかな。
完成する日ははたして来るのだろうか。
By 1号=ひらかわ