こちらのブログを御覧の皆様は、きっとわたしよりずっと皮革製品について、お詳しいことと思いますが、
新米職人の話として、どうぞ温かい目でお読み頂けたら、と思います。
「コバ」という言葉すら知らなかったわたしですが、先輩職人に指導されながら、製作に携わってきました。
様々な工程を徐々に学んでいくなか、難しく感じていたひとつがコバの仕上げでした。
形を整えて、カチッと固めて、ツヤをだす・・・その時のコツといいますか、手の感触がなかなかつかめませんでした。
そのコバ仕上げの感覚の手応えを、今回シカと感じることが出来ました!
今までは、コバ仕上げの段階になると、なんだかんだ殆どを先輩職人にやって貰っていたのです・・・。
わたし、昔クラシックギターをやっていたことがあるのですが、皆さんクラシックギターって、あまり馴染みないですか?ピンとこない方も多いかも知れません。
「禁じられた遊び」のアルペジオや「アルハンブラの思い出」のトレモロなどが有名なところでしょうか。
いずれにしても、指先の細やかな動きが要求される楽曲が多いです。
そこで、よどみないフィンガーピッキングの為に、爪の手入れが欠かせません。怠ると先生に注意を受けます。
爪の仕上げによって、音の印象は大分変わりますし、4本のバランスがとれていないと綺麗なアルペジオにならないし、なにより演奏しづらいのです。
指の、弦への侵入角度に合わせて爪を磨いてゆきます。爪の使う位置で音の表現を変えられるよう、ひっかかりの出る場所を作らないように、細かいサンドペーパーを使ってやすり、最後はたしか鹿の革でツヤを足して仕上げていました。
この、爪の仕上げが、なんとなくコバの仕上げと似ていることに今回気付いたのです!
先輩職人の言う事ひとつひとつが、ギターの先生の言う事に重なります!
クラシックギターの場合、爪の仕上げが音に丸みをもたせたり、音をシャープにしたり、と大きく影響するように、コバの仕上げも印象を変えるのかもしれません。
とはいえ、なんとなくのコツをつかんだだけなので、まだまだこれからなのですが、ひとつ階段を上れたようで嬉しいです。
これからも、もっともっと綺麗で、長くつかっても衰えない、理想のコバを追求してゆきたいと思います。
I.S.